ビザ発給の問題

しかし、それだけでは対処しきれない問題が出ていたことが、 (5) の内務省警保局(警察部門を管轄)長から外務省に宛てた文書からわかります。ここでは、ますます増加するヨーロッパからの避難民の中には、避難先の国で入国許可を取ることができる、と偽って日本の通過ビザを得て来日しておきながら、実際には行き先がなく、それを理由に日本にとどまろうとする者がいる、と書かれています。また、日本までの乗船券しか持っておらず避難先の国に行くための費用もない者がいて、取り締まりに困っている、とも述べられています。これらは、ヨーロッパの戦火を逃れた避難民全般のことを指していますが、添えられている表 (6) を見ると、やはりユダヤ人が含まれています。そして、いちばん左、国籍が「猶太系 リスアニア」(ユダヤ系 リトアニア)となっている人物の「通過査証月日及官庁」の欄には、「同年(昭和十五年)七月十六日 在カウナス帝国領事代理 杉原千畝」と書かれています。つまり、この人物は、杉原からビザの発給を受けて日本にやってきたことがわかります。しかし、その背景には以上のような難しい状況があったのです。

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